未来を思いたい


一枚ずつ、花びらが落ちてゆく
なんて儚くて美しいのだろう
そして酷く恐ろしかった
露わになった雌しべに
そっと接吻でもしてみようか

冷たくなっていく皮膚に
媚びることなど出来ずに
ただ歯を食いしばる
生きやすい世界など
どこにも無い気がしてくる

時計の針が進むたび
年老いていくような感覚になる
終わりが迫ってくる音に聞こえて
思わず身震いする
影踏みをしながら帰ったあの日、
永遠などないことを知った幼き日、
昨日のことのように思い出せるのに
もう何年も前のことなのだ

ただ淡々と過ぎていく日々が
たまらなく愛しく、憎い
募る焦燥を無視してまた眠りにつく
明日になれば何かが変わることを願った
いつも何かを期待してその度に落胆する

私の細胞は何度も死を繰り返し
また私の中に生まれる




08.03.10 *